「うわ。何あんた、何しに来たのよ」
冒険者になりに来た」
「……はぁ?」
「元婚約者どのは、真実の愛を見つけられたそうな」
「は。そりゃ、また、ごくろーさま」
「しかし、私の知らぬ間に、随分と立派になったものだな。たまには帰らぬか? ダフネ達が寂しがっていたぞ」
「なーによ。別にいーじゃないの、こっちもあっちも元気なんだから充分でしょ」
「そう言うとは思った。まったく、変わらぬ女だ」
「ナイトメアだもんさ。あんたらエルフも大概変わんないけど」
「ふふ。ともあれ、そういう訳で、これからは同業だ。よろしく頼む」
「……しょーじき遠慮したいわ。あんた真っ先に死にに行きそうだし」
「流石、よく判っておられる」
「……いや実際、神官死んだら結構まずいからやめといてよ?」
「判っておる。死ぬのは皆が倒れた後だ。『待て! 私の命をやる、だから皆の命を助けてくれ!』と、こう」
「……それ聞く奴がいると思う?」
「相手が聞くかは問題ではない。相手に身を投げ出すその精神こそが崇高なる法悦の……」
「……やっぱ、あんたと一緒に冒険すんのは遠慮しとくわ」