無題

「やあ、久しぶりだね?」
「……師匠」
「それ、やめてくれないかな。こっちにも名前があるんだからさ」
「…………」
「お面は相変わらずだね。……でも、少し血が上ってきたかな?」
「……さあ、自分ではわからない」
「冒険は楽しいかい?」
「……楽しくなくは、ないな」
「はっきり言いなよ、もう。……うん、少しはいい顔になったね。それに、強くなった」
「……どうかな。まだまだ駆け出しだ」
「まあ、上を見るとキリがないよ。長年冒険者続けてる連中なんて、バケモノばかりだからねえ」
「……死なない程度に、やっていくさ」
「うん、うん。……そろそろ、他の歌も歌えそうだね」
「……歌のほうも、練習を欠かしてはいないが、腕は上がっていないな」
「大事なのはハートだよ」
「…………」