SS

「で、どうだった?」 「両親から聞かなかったの?」 「君の口から聞きたいな」 「言うと思ったわ」 「まぁ、実の所、聞いても要領を得なかったんだけどね」 「……目に浮かぶわね」 「流石に喜んでいたよ?」 「……良い式だったもの」 「ふぅん」 「何か言いた…

Grace & beau on the backstage

「はい、返しますわ」 「あ、どうも」 受け取った人形は、とても『いい顔』をしている。 「一日程度で元に戻るわ。安心なさい」 「はは、ちょっと残念」 初めて会うはずの冒険者だが、どうも彼女には見憶えがある。……彼女に、というか、彼女の雰囲気に? 「…

――汝、フレデリック・ジェードを、ダーレスブルグ公国騎士の位に任ずる―― 「お疲れさまでした、兄さん」 翠の瞳をした美しい少女は、そう言って、ふわりと僕の腕に抱きついた。――世界一可愛い僕の妹、エレノア。 「ありがとう。とりあえず、一段落ってところ…

リヴァはすやすやと寝入っている。朝までぐっすり寝てくれるようになってきたから、楽になった。流石に一人にはできないので、ベッドの傍らで本を読んでいる。 変わった事もないまま、今日も一日は過ぎていく。

『知識の杜の隠者』

また冒険者に頼んで研究所跡を調査してもらった。毎度おなじみ、頭が痛くなるような惨状だったようだ。最近シェリカもいい顔しないし、そのうち受けてくれる冒険者もいなくなるかもしれない。そうなったら、レンデの弟にでも頼もうか。

「あぁ、アーニー。林檎のタルトを作ったのだけれど、食べるわね?」 「……は?」 「何、その反応は」 「いえ……姉上が料理とか……それもお菓子とか……」 「貴方よりは出来るわよ」 「知ってますけど。どういう心境の変化ですか?」 「別に。作りたくなっただけ…

『かささぎの橋』後書きというか言い訳というか没ネタ

……言い訳のしようもなかった。ちょっと暴走してみたかったんだ、うん。 以下没ネタ。

『かささぎの橋』

名前を名乗ったら、当たり前のように一番いい部屋に通された。それだけ私の名前が広まったということなのだと、ごく当然に思った。 不覚だった。 「やぁ」 部屋に入って、ドアを閉めた途端に、信じられない声が、部屋の奥から現れた。 聞き慣れた声。ずっと…

電波の顛末

「……だからね、エレ。人を使うっていうのがどういう事かは、考えなさい」 「はい、兄さん……」(ぐすぐす) 「まあ、似てるからって連れてきた伯父様も伯父様だけど……」 「私もびっくりしたの。それで、つい……」 「うん、執事として雇ったんだよね?」 「伯父…

「姉上、"黄昏の明星"だか何だかなんでしたっけ?」 「そうよ。昼と夜の狭間に立ち、一際輝く星……まさに私でしょう?」 「まぁ何か、空気読まない感じがそんな風ですよね」 「ふん。あなたも早く二つ名で呼ばれる程度になりなさいな」 「なりましたよ」 「ふ…

『この右手と左手は』後書きと言い訳

リード絡みの話は本当……彼自身がPCなわけでもないし、ややこしいので実際のセッションではあまり(NPCとしても、レンデやアーニティの発言上でも)出さずにいようと思うのですが、やっぱりこの姉弟の人格形成に現在進行形でかなーり関与してる人なので扱いが難…

『この右手と左手は』

僕の義兄、というか、甥っ子の父親、というか、なんというか……ともかく、義兄。は、恐ろしく性格の悪い人間だ。

「アーニティ。私の魔法力が切れるまでスパークを受け続けるのと、インテンス・コントロールで強化したローム君と殴り合うのと、どちらがいいかしら?」 「…………あの、いきなり何ですか」

『機織り歌と吟遊詩人』後書き

ニアミスさせてみました。相互印象・無印PCバージョン、ということで。ついでにエルマ、ノスタルジィ習得記念。 機織り職人の仕事風景がもうひとつわからなくて適当ですが、そこはそれ、ドゥンヤー幼少期の記憶だから間違っててもしょうがないんだ!

『機織り歌と吟遊詩人』

小さい頃の思い出は、いつも、おねえちゃんと一緒。 おねえちゃん、シェエラ。私より4つ年上の、優しいおねえちゃんです。 ぱた、ぱた、ぱたん。とん、とん、くるり。 ぱた、ぱた、ぱたん。とん、とん、くるり。

『the Grace like a glass or a grass』

騙されたなんて思っていない。 でも、許すつもりもない。

転がる賽子のように(5・終)

あの時、ファールドが何をしに来ていたのかは、わからない。ほとぼりが冷めたところを狙って、何か貴重なアイテムでも取り戻しに来たんじゃないかとは思うが……まあ、僕にはどうでもいいことだ。 自警団員たちの死は、街に渦巻く日々の混乱の中の、一つの事件…

転がる賽子のように・後書き

そんなわけで完結です。全五話。せっかくだから六面体的な意味で六話にしたかったけど、まあ六はこれからのアーニティってことで。 以下どうでもいい設定とか解説とか裏話とか(当然ネタバレです)

転がる賽子のように(4)

姿を消した魔女ファールドの追跡は、しばらく続けられていたらしいが、それに直接関わっていたのは、神殿から依頼を受けた熟練の冒険者とか、そういう人たちだった。まあ、僕たち下っ端に言われても困るし。 ファールドの居場所が掴めないので、一時は自警団…

「ねぇアーニー。リヴァの誕生日っていつだったかしら」 「……姉上、今、何気に最低なこと口走りましたね」 「時期を憶えているだけ大したものと思いなさいな。あなたの誕生日なんて冬だってことしか憶えていないわ」 「僕のことはどうでもいいですけど……ちな…

転がる賽子のように(3)

その日、起こった事件について、僕が知っているのは断片だけだ。

転がる賽子のように・人物紹介

書けてない部分に差し掛かったので、ちょっとお休み。 基本的に設定がややこしくてアレなので軽く人物紹介。 細かいところは書いてる途中に変わる可能性がなきにしもあらず。

転がる賽子のように(2)

追討対象が魔女ファールドだと知った時、僕はそれほど驚かなかった。回りに比べれば、程度のことだけれど。彼女にはもともとあまり良い印象を持っていなかった。姉が道を間違えた元凶のようなものだし。 まあ、追討を計画した側も、僕たちがあまり動揺しない…

転がる賽子のように(前書き)

アーニティ過去編。やたら長くなってきたので連載に。序盤は多分もう直さないってところまで来たのでとりあえず開始。 多分、6〜7回くらいかな……途中からまだポイントしかできてないので中断入るかも。 タイトルは「ころがるだいすのように」と読んでほし…

転がる賽子のように(1)

人間には運命を覆す加護があるという。 それが本当なら、多分、僕はどこかでその使い所を間違えたんだろう。

『少年は世界に触れる』後書き

そういえばこっちに載せてなかったので。 ユストは起動前後の経緯こそトップクラスに不幸ですが、なんだかんだで恵まれて来た子です。本人も述懐してたことありますが。 潔癖症設定もどこへやら……ってことで書いたお話でした。

『少年は世界に触れる』

その背は高く、並みの男では見上げるほど。 眼光は鋭く、その瞳は時に、鮮やかな赤に輝く。 常に黒い服に身を包み、分厚い手袋を決して外さない。 その手には、身長ほどもある長い剣。

「全く……こんな所で顔を見るとは思わなかったわよ。何を考えているんだか」

『仲の悪い二人と忘れていた思い出』後書き

義理の兄と弟のギシギシした会話のまき。 レンデもあと一回で高レベル。アーニティ投入はいつになるかなー。

『仲の悪い二人と忘れていた思い出』

ノックもせずに家に立ち入ってきた人影に向けていた銃を下ろすと、アーニティ・ルールシェンクは苛立たしげに呟いた。「……義兄上ですか」