「姉上、"黄昏の明星"だか何だかなんでしたっけ?」
「そうよ。昼と夜の狭間に立ち、一際輝く星……まさに私でしょう?」
「まぁ何か、空気読まない感じがそんな風ですよね」
「ふん。あなたも早く二つ名で呼ばれる程度になりなさいな」
「なりましたよ」
「ふぅん。それは結構なことね。何と?」
「"七転八倒"」
「……姉弟の縁を切りたいわ」
「奇遇ですね。僕も切りたいです」
「少しは身内の恥を考えなさい!」
「そのお言葉はそっくりそのまま姉上にお返しします」
「あぁっ、もうっ……! どこかの誰かが大笑いするのが目に浮かぶ……!」
「いいじゃないですか、笑われるくらい。もう慣れてますよ」
「私が慣れないのよ! 許せないのよ!」
「そういう相手を好きになったのが姉上の運の尽きですね。ついでに僕の運も尽きましたけど」
「……とにかくっ! これから死ぬ気で頑張りなさい! そんな失笑しか買わない渾名は早く払拭なさい!」
「まぁ、死ぬまでは頑張りますよ。姉上のためじゃないですけどね」