おばあちゃんの今年の抱負

「そうですねえ。つい、冒険に出る前と同じ調子で空いた時間に編み物をしていましたら、贈り先の決まっていないセーターやマフラーがたくさんできてしまって。神殿に寄付しようかと思っているんですけれどねえ」
――はあ。
「けれどねえ、ああしたものって難しいんですよ。以前に近所の奥様が手作りのものを神殿に差し入れていたのですけれど、これは秘密なのですけれど、もう大不評だったんですよ」
――はあ。
「慈善の精神は称賛されるべきものですけれど、そういった問題もありますものねえ」
――はあ。えーと、その、今年の抱負というか成長計画というか……
「ああ、そのお話でしたね。使える剣が増えたのはいいのですけれど、大きい剣は重くてなかなかねえ」
――ディフェンダーはまだまだ遠い。手袋使えばぎりぎり持てる筋力ではあるんだけど、そうすると割り物がその他枠だけになっちゃうし。そもそも手袋もけっこう値段高いし。ディフェンダー銀製にしたい病が出てるし。
「マンゴーシュの方も、買ったのはよいのですけれど、使う機会はそこまでないかもしれませんねえ。私も二刀使いの端くれではありますけれど、今の技量ではまだまだ狙いが甘くなってしまって」
――しばらくはフリッサ+バックラーのが安定してしまうという。でも7ではさすがに防具習熟だろうしなあ。
「若い子の足を引っ張ってはいけませんからね。どうにか頑張っていきますよ」
――まあ、ちょっとずつ不安だけど、なんとかなるスペックにはなりましたね。これくらいの強さのバランスが好きだったりはする。
「神官としても多少の修業を積みましたので、支援も少しならできるようになりました」
――うん、Fプロ・Fレジ係はけっこう積極的にやりたかったりする。すぐ前に出なくていい状況ならだけど。
「役に立てるということはとても嬉しいことですね。うちの下の子もそれがわかってくれたらいいんですけど……」
――ああ、出来の悪いほうの息子さん。
「でも、いい子なんですよ。これはもう20年も前の話ですけど、あの子が……」
――(しまった)